ピラティスで腰が痛くなる人の共通点|理学療法士が教えるエラーと対策

ぴらてぃすのお勉強

はじめに

「ピラティスをしてたら腰が痛くなった」
「フォームは合ってるはずなのに、終わったあと腰に違和感が出る」
こんな経験はありませんか?
実はこれ、フォームの問題だけでなく、体の使い方や感覚のクセが関係していることが多いんです。
今日は理学療法士として、ピラティス中に腰が痛くなりやすい人の共通点と、その対策をお伝えします。


骨盤を後傾させすぎている

腹筋エクササイズのときに骨盤を後傾させすぎると、腰の自然なカーブ(前弯)が失われてしまいます。
一見きれいなフォームに見えても、実際には腰椎の関節や椎間板に過剰なストレスがかかります。
お腹を引き込む意識が強い人や、背中をべったりマットにつけようとする人によく見られるパターンです。


反り腰のまま腹圧が抜けている

逆に、反り腰のまま動くタイプも多いです。
肋骨が開いたまま腰が反った状態で脚を上げたり上体を起こしたりすると、腰椎の伸展方向に負荷が集中します。
このタイプは、見た目には背筋が伸びてきれいに見えますが、腹圧の支えがなく、腰だけで体を支えてしまっています。
「腹筋が弱い」というより、「タイミングと連動」がずれているケースです。


呼吸を止めてしまう

もう一つ多いのが、呼吸の止まりです。
動きに集中しすぎて息を止めてしまうと、横隔膜が固定されて腹圧のコントロールができなくなります。
結果的に、腰の筋肉が過剰に緊張し、違和感や痛みを感じやすくなります。
「呼吸を止めない」というのは簡単そうで、実は一番難しいポイントです。


理学療法士が見る“動かす前に支える”感覚

腰痛を防ぐためには、「動く前に支える」意識が大切です。
つまり、動作の前に軽く腹圧をセットしておくこと。
これによって、腰椎が安定し、動きに耐えられる“土台”ができます。
また、肋骨の動きを感じながら呼吸を続けることで、横隔膜と腹横筋の連携が自然に働きます。
「吸って肋骨を横に広げる」「吐いて肋骨を閉じる」このリズムを意識してみましょう。


ピラティスで意識したいポイント

ピラティスの目的は、筋肉を鍛えることではなく動きの質を整えることです。
もし腰に違和感を感じたら、「フォームが悪い」と決めつけるのではなく、呼吸や骨盤、肋骨の関係を見直してみてください。
呼吸を止めず、体幹をしなやかに支えることができれば、腰の負担は自然と減っていきます。


まとめ

ピラティスで腰が痛くなる人の多くは、骨盤や肋骨の動きがアンバランスで、腹圧の支えが抜けています。
呼吸を止めず、肋骨の動きと腹圧の感覚をつなげることで、腰への負担はぐっと減ります。
「動かす前に支える」意識を持つことが、腰痛を防ぎ、ピラティスの効果を最大化するコツです。


参考文献

  1. Hodges PW, Richardson CA. Inefficient muscular stabilization of the lumbar spine associated with low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 1996;21(22):2640–2650.
  2. O’Sullivan PB. Lumbar segmental ‘instability’: clinical presentation and specific stabilizing exercise management. Man Ther. 2000;5(1):2–12.
  3. Lee D, Vleeming A. Understanding sacroiliac joint function and its clinical implications. Manual Therapy. 2012;17(1):2–12.
  4. Neumann DA. Kinesiology of the Musculoskeletal System. 3rd ed. Elsevier; 2017.

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