胸式呼吸と自律神経の関係とは?
呼吸の仕方が「自律神経」のバランスに影響することをご存じですか?
自律神経は 交感神経(活動モード) と 副交感神経(休息モード) からなり、心身のオンオフを調整する大切な働きをしています。
現代人はストレスや緊張で交感神経が優位になりがちですが、胸式呼吸を取り入れることで副交感神経を高め、リラックスしやすくなることが研究から示されています。
自律神経とは?副交感神経を高める意味
- 交感神経:緊張や運動で働き、心拍数や血圧を上げる。
- 副交感神経:睡眠や休息で働き、リラックスや回復を促す。
このバランスが崩れると「疲れやすい」「眠れない」「集中できない」といった不調につながります。
そこで注目されているのが「呼吸法」です。
胸式呼吸とは?腹式呼吸との違い
- 胸式呼吸:胸や肋骨を広げて行う呼吸。胸が上下に動く。
- 腹式呼吸:お腹を膨らませて行う呼吸。横隔膜が主に動く。
ヨガや瞑想では腹式呼吸が有名ですが、実は胸式呼吸にも大きなメリットがあります。特に「副交感神経を高める効果」が近年注目されているのです。
胸式呼吸で副交感神経が高まるエビデンス
複数の研究で、胸式呼吸を行うと 心拍変動(HRV) が改善し、副交感神経の働きが強まることが確認されています。
- Doma et al. (2021):胸式呼吸で副交感神経の指標が上昇。注意力やストレス耐性にも効果。
- Zaccaro et al. (2018):ゆっくりした胸式呼吸はリラックスや感情安定に有効と報告。
これらの結果から「胸式呼吸は休息モードへの切り替えスイッチになりうる」と考えられます。
なぜ胸式呼吸が副交感神経を高めるのか?
胸式呼吸をすると、
- 肋骨の動きで呼吸リズムが安定
- 息を吐く時間を長くしやすい
- 心拍のゆらぎ(HRV)が増える
これらの要素が副交感神経を刺激し、自然とリラックスしやすい体の状態をつくります。
ピラティスと胸式呼吸の相性
ピラティスでは胸式呼吸が基本です。
動作中に胸を広げながら息を吸い、体幹を意識しながら吐くことで、筋肉の安定性と自律神経の安定を同時に得られます。
「運動しながらリラックスできる」のは、胸式呼吸を活用するピラティスならではのメリットです。
まとめ|胸式呼吸で副交感神経を高め、自律神経を整える
- 胸式呼吸は副交感神経を優位にし、リラックス効果がある。
- エビデンスによりストレス改善や心身の回復が期待できる。
- ピラティスと組み合わせると、より効果的にオンオフを切り替えられる。
毎日1~3分の胸式呼吸を取り入れるだけで、体と心のバランスを整えやすくなります。
参考文献
- Doma, K., et al. (2021). The effects of diaphragmatic breathing on attention, negative affect and stress in healthy adults. Frontiers in Psychology, 12, 725506.
- Zaccaro, A., et al. (2018). How breath-control can change your life: A systematic review on psychophysiological correlates of slow breathing. Frontiers in Human Neuroscience, 12, 353.
- Noble, D. J., & Hochman, S. (2019). Hypothesis: Pulmonary afferent activity patterns during slow, deep breathing contribute to the neural induction of physiological relaxation. Frontiers in Physiology, 10, 1176.



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