「ピラティス」と聞くと、最近ではフィットネスや美容のためのエクササイズという印象が強いですが、その生みの親であるジョセフ・ピラティスは「健康回復」や「体の機能改善」にもつながる運動を考案していました。では実際、彼はリハビリをしていたのでしょうか?
結論から言えば、ジョセフ・ピラティス自身は医師や理学療法士のようなリハビリ専門職ではなく、医学的なリハビリを行っていたわけではありません。しかし彼の考案したエクササイズは結果的にリハビリ的な効果を持ち、多くの人の回復や怪我予防に役立ってきたのです。
「リハビリ発祥!!」とか言っている人はにわかファンかも!!(笑)
ジョセフ・ピラティスとは?
ジョセフ・ピラティス(1883–1967)はドイツ生まれ。子どもの頃は喘息やリウマチ熱など虚弱体質で苦しみました。健康を取り戻すために、体操、レスリング、ヨガ、東洋の呼吸法などを学び、独自のエクササイズ法を作り上げました。当初はコントロロジーというこれが「ピラティス・メソッド」の始まりです。
第一次世界大戦と「リハビリ的な効果」
第一次世界大戦中、ジョセフはイギリスで抑留されました。その際、負傷兵や病弱な仲間にエクササイズを指導。ベッドのスプリングを利用した運動補助具を作り出し、寝たままでも安全に行えるトレーニングを考案しました。これは現在の「リフォーマー」などの専用器具の原型といわれています。
これは医療としてのリハビリではありませんが、怪我や病気で動けない人の回復を助ける運動療法に近い活動であり、リハビリ的な要素を多分に含んでいたといえます。
ダンサーへの普及と怪我の回復
1920年代にアメリカへ渡ったジョセフはニューヨークにスタジオを開設。顧客の多くはプロのダンサーでした。ダンサーは怪我が多く、復帰や予防のためにピラティスを活用。そこから「怪我からの回復や予防に役立つエクササイズ」としてピラティスが広がっていきました。
やっぱりリハビリじゃなくてエクササイズなんです!
リハビリとピラティスの違い
リハビリテーション(医学的リハビリ)
医師や理学療法士などの専門職が、病気や怪我の回復を目的に科学的根拠に基づいて行う医療行為。
ピラティス
ジョセフが生み出したエクササイズ法。呼吸や体幹の安定、柔軟性の向上を重視し、姿勢改善や怪我の予防に効果的。ただし医療行為ではない。
つまり、ピラティスはリハビリそのものではないけれど、リハビリに応用できる運動法なのです。
理学療法士による評価とピラティスの重要性
ここで大切なのは、「誰がどのようにピラティスを行うか」です。
腰痛や肩こりの背景には、姿勢不良、関節の硬さ、筋力のアンバランスなどさまざまな要因があります。これらを見極めずに自己流でピラティスを行うと、効果が出ないどころか痛みを悪化させることもあります。
当然、一人ひとり違う体です。ならすべてのエクササイズやマシンがその人に絶対に合うとは限らないですよね?「反り腰だからこのエクササイズ」というのは大きな間違いになる可能性があります。
そこで重要になるのが理学療法士の評価です。理学療法士は解剖学や運動学に基づいて体の状態を分析できる専門家です。
- どの関節が硬いのか
- どの筋肉が弱いのか
- 呼吸や姿勢にどんな癖があるのか
- 足の長さはどうか
これらを見極めたうえで、適切なエクササイズを選び、正しいフォームで行うことで初めてピラティスの効果が最大限に発揮されます。
つまり、体を熟知した理学療法士による評価と指導のもとでピラティスを行うことが、リハビリや予防の場面ではとても大切なのです。
現代における「ピラティスとリハビリ」
今日では世界中の理学療法士やトレーナーが、ピラティスをリハビリや予防の一環として取り入れています。
- 腰痛や肩こりの改善
- 姿勢の改善
- スポーツ障害からの復帰
- 高齢者の転倒予防
このように、ピラティスは「医療」と「フィットネス」の間をつなぐ存在として、多くの人の健康づくりに役立っています。
まとめ
- ジョセフ・ピラティスは医療者ではなく、リハビリそのものはしていない
- ただし、戦争中やダンサーへの指導を通じて「リハビリ的な効果を持つ活動」は行っていた
- ピラティスは医療行為ではないが、怪我の回復や予防、姿勢改善に効果がある
- 理学療法士が体を評価したうえで行うことで、安全かつ効果的にピラティスのメリットを得られる
👉 したがって、「ピラティスはリハビリそのものではないが、理学療法士の専門的な評価と組み合わせることで、リハビリや予防の強力なサポートになる」と言えます。



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