はじめに
ピラティスでもリハビリでも、「腹圧を高めましょう!」という言葉をよく聞きますよね。でも実際にやってみると、お腹をへこませすぎて苦しくなったり、息を止めてしまったり…。そんな経験はありませんか?
理学療法士として多くの方をみていると、「腹圧=お腹を固めること」と誤解しているケースがとても多いのです。この記事では、腹圧を正しく使うためのポイントを、ピラティスと理学療法の視点からやさしく解説していきます。
腹圧がうまく入らない人の共通点
腹圧がうまく高められない人の多くに共通しているのが、「お腹をへこませる」動作を意識しすぎてしまうことです。
実は、腹圧とはお腹をへこませる力ではなく、「内側から風船のように膨らむ圧」のこと。息を止めずに、下腹からふわっと膨らむように呼吸することが大切です。
また、骨盤底筋をうまく使えていない場合も腹圧が入りません。骨盤底筋はお腹の底で支える“床”のような存在で、ここが抜けると、いくらお腹を意識しても圧が逃げてしまいます。ピラティスでは「お腹の底から支える」意識をもつことで、腹横筋と骨盤底筋が自然に連動して働くようになります。
理学療法士が見ている腹圧のポイント
理学療法士として現場で観察すると、腹圧が入りにくい人には次のような特徴があります。
- 息を吸うと肩が上がる(胸式呼吸が強い)
- 骨盤が後傾し、腰が丸くなっている
- 呼吸のリズムが浅い、速い
こうした人は、まず「肋骨と骨盤の距離」を意識することが大切です。姿勢を整えるだけで、腹圧が自然に働くことも多いです。ピラティスでは、動きながらこの感覚を養うことができるのが大きな強みです。
まとめ
腹圧を高めるというのは、単にお腹を固めることではありません。呼吸と骨盤底筋、姿勢のバランスが整うことで、内側から自然に圧が生まれるのです。
ピラティスはその「つながり」を感じ取るのにとても適したメソッド。もし腹圧が苦手だと感じる方は、まずは呼吸を見直すことから始めてみてください。
参考文献
- Hodges PW, Gandevia SC. Activation of the human diaphragm during a repetitive postural task. J Physiol. 2000;522(Pt 1):165–175.
- Neumann DA. Kinesiology of the musculoskeletal system: foundations for rehabilitation. Elsevier Health Sciences; 2017.
- Sapsford RR, et al. Co-activation of the abdominal and pelvic floor muscles: Evidence for a functional synergy. Aust J Physiother. 2001;47(1):30–36.




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