はじめに
「脚が重い」「夕方になるとパンパンになる」——そんな脚のむくみ、実は“骨盤の動き”と関係しているのを知っていますか?
マッサージやストレッチをしても一時的にしか楽にならない人は、体の“中心”である骨盤の可動性が落ちていることが多いんです。
理学療法士の視点から、骨盤の動きと脚のむくみの意外な関係、そしてピラティスでどう改善できるのかを解説します。
骨盤が動かないと、なぜ脚がむくむのか
骨盤は、下半身と上半身をつなぐ“ポンプの要”のような存在です。
骨盤が前後・左右・回旋方向に柔軟に動くことで、股関節や鼠径部(足のつけ根)の血管・リンパ管の通りがスムーズになります。
しかし、座りっぱなしの生活や姿勢の崩れで骨盤が固定化されると、
- 下肢への血流が滞る
- リンパの流れが悪くなる
- 下肢の筋ポンプ(特に内転筋群・ハムストリングス)の活動低下
が起こり、結果的に“むくみやすい脚”になってしまいます。
理学療法士が見る「骨盤の動きが悪い人」の特徴
現場で観察していると、骨盤の動きが制限されている人には共通の特徴があります。
- 骨盤が後傾していて、坐骨で座れない
- 股関節の内外旋が少なく、足を組む・立つ姿勢が偏る
- 呼吸が浅く、下腹が硬い
これらの人は、骨盤の「支点」がなく、呼吸や下肢の動きと連動しにくい傾向があります。つまり、脚をいくらマッサージしても“根本の循環ポンプ”が動いていない状態です。
ピラティスで“流れ”を取り戻す
ピラティスの動きは、骨盤を意識的に「動かす」「安定させる」「呼吸とつなげる」ことが特徴です。
たとえば、ペルビックカール(骨盤のローリング)は、骨盤の前後傾を通して仙骨周囲の血流を促し、骨盤内や下肢の循環を助けます。
さらに、呼吸に合わせて骨盤底筋と腹横筋を連動させることで、インナーユニットのポンプ作用が高まり、脚のだるさやむくみの軽減につながります。
理学療法士としては、これを単なる「運動」ではなく、「循環を作る動作トレーニング」として捉えるとより効果的です。
まとめ
脚のむくみを根本から改善するには、“骨盤の動き”を取り戻すことが欠かせません。
骨盤は下半身の血流・リンパのハブ。ピラティスを通して呼吸と連動したしなやかな骨盤の動きを身につけることで、むくみにくい体を目指せます。
マッサージで流すだけでなく、「自分の動きで流れを作る」意識をもつことが大切です。
参考文献
- Busquet L. Les chaînes physiologiques – Tome 3 : Les chaînes viscérales. Frison-Roche, 1995.
- Yamamoto T, et al. Relationship between pelvic alignment and lower limb muscle activity during standing. J Phys Ther Sci. 2016;28(12):3409–3413.
- van der Vlist AC, et al. Pelvic alignment, leg edema, and venous flow: a review. Phlebology. 2019;34(9):603–610.






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