膝の内側がズキッと痛む「鵞足炎(がそくえん)」。
スポーツをしている人だけでなく、日常生活でも起こりやすい炎症です。
でも実はこの膝のトラブル、原因が足の指の使い方にあることが少なくありません。
鵞足とはどんな場所?
鵞足とは、膝の内側に集まる3つの筋肉(縫工筋・薄筋・半腱様筋)の腱が交わる部分です。
この3つの筋肉は、股関節から膝、すねの内側、そして足の動きにも関わる長い筋肉の連鎖を持っています。
つまり、足の指の使い方や足のアーチが乱れると、最終的にこの「鵞足」にも影響が出るのです。
足の指とうまく連動できないと起こること
歩いたり立ったりするとき、本来は母趾(親指)で地面を押す力がとても重要です。
しかし、母趾が使えず「浮き指」や「内側に倒れた足(過回内)」になると、
脚全体の動きがねじれ、膝が内側に引っ張られるようなストレスがかかります。
その結果、鵞足部の腱に繰り返し摩擦が起こり、炎症が生じてしまうのです。
運動連鎖で考えるとわかりやすい
体は「運動連鎖(kinetic chain)」でつながっています。
足の指 → 足首 → 膝 → 股関節 という流れで力が伝わるため、
足の指がうまく使えないと、膝の動きが乱れるのは当然のことです。
理学療法の現場でも、鵞足炎の方に足趾筋(特に母趾の押し出し)の弱さや、足底アーチの崩れが見られることはよくあります。
鵞足炎を防ぐためにできること
- タオルギャザーや足指のグーパー運動で足底筋群を鍛える
- アーチを意識したエクササイズを行う
- 母趾で地面を押す感覚を意識して立つ・歩く
- 土踏まずのアーチを保つ靴選びを意識する
- 膝だけでなく足や股関節も動かすエクササイズを取り入れる
鵞足炎は「膝の炎症」ではありますが、根本的には「足からの崩れ」が大きな要因です。
膝だけを治療するよりも、足の指を含めた全体のバランスを整える方が、再発を防ぎやすくなります。
足の指のエクササイズはFRPには多くあるのでおススメです。
参考文献
- Nakagawa TH et al. Relationship between foot pronation and lower extremity kinematics during walking. J Orthop Sports Phys Ther. 2012;42(7):564–573.
- Levinger P et al. Foot structure and function in individuals with patellofemoral pain syndrome. J Foot Ankle Res. 2010;3:21.
- 日本整形外科学会「鵞足炎」疾患情報ページ. https://www.joa.or.jp/





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