ストレートネックはなぜ起こる?理学療法士が教える原因とピラティス改善法

Uncategorized

ストレートネックとは?

首の骨(頸椎)は、本来ゆるやかに前へカーブしています。このカーブは、重たい頭(体重の約10%ほど)を効率よく支えるためにとても大切です。
しかし、スマホやパソコンを見る時間が長くなると首が前に突き出し、このカーブが失われて「ストレートネック」と呼ばれる状態になります。

ストレートネックは“スマホ首”とも呼ばれ、以下のような不調を招きます。

  • 慢性的な首や肩のこり
  • 頭痛やめまい
  • 猫背などの姿勢の乱れ
  • 集中力の低下

ストレートネックの原因

ストレートネックは首だけの問題ではなく、全身の姿勢から影響を受けます。

  1. スマホ・パソコンの長時間使用
    下を向く姿勢が続くことで首の前弯が減り、まっすぐ固まってしまいます。
  2. 反り腰(腰の前弯過多)
    骨盤が前に傾き腰が反ると、背中は丸まり、バランスを取るために首が前に出ます。結果としてストレートネックが生じやすくなります。
  3. 胸椎(背中の背骨)の硬さ
    背中が動かないと首で代償するため、首の負担が増加します。
  4. 筋肉のアンバランス
    • 後ろの筋肉(僧帽筋や胸鎖乳突筋)は過剰に働いて硬くなる
    • 奥にある深層の筋肉(ディープネックフレックスター=長us colli、長us capitis)は弱くなりやすい

首の深層の筋肉(ディープネックフレックスター)

首の奥にある小さな筋肉は、頭をまっすぐ支える「インナーマッスル」です。
これらが弱ると首が安定せず、肩や後頭部の筋肉ばかりに負担がかかり、コリや痛みを招きます。

ピラティスでは、この深層筋を意識的に働かせる運動が可能です。例えば「小さくうなずく動き(ネックノディング)」は、表面の筋肉ではなく奥の支えを活性化するのに役立ちます。


負担がかかりやすい頸椎

ストレートネックになると特に影響を受けやすいのが**下部頸椎(C5〜C7)**です。
頭の重さが集中し、変形や神経症状につながりやすい部分です。

一方で、**上部頸椎(C1〜C2)**は可動性が大きいため、過剰に動きやすく、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。
つまり「下は詰まり、上は不安定」な状態がストレートネックの特徴なのです。


ピラティスとストレートネック改善

ピラティスは「全身をつなげて整える運動」なので、首だけでなく姿勢全体にアプローチできます。

効果的なポイントは:

  1. 体幹(コア)の安定性を高める
    → 反り腰を防ぎ、首の位置が自然に整う。
  2. 胸椎の可動性を取り戻す
    → 背中が動けば首に余計な負担がかからない。
  3. 肩甲骨まわりを安定させる
    → 肩が前に丸まるのを防ぎ、首が前に出にくくなる。
  4. 深層の首の筋肉を活性化する
    → 本来の首のカーブを取り戻しやすくなる。

日常生活での工夫

  • スマホは目の高さに近づける
  • デスクワークでは腰を反らしすぎず、骨盤を立てる
  • 1時間に1回は立って首や肩を回す

まとめ

ストレートネックは「スマホの見すぎ」だけでなく、反り腰や背中の硬さなど全身の姿勢の乱れから始まります。
首の深層筋を活性化し、体幹や背骨、肩甲骨を整えるピラティスは、根本的な改善に効果的です。

「首こりや肩こりが続く」「姿勢を良くしたい」と思っている方は、ぜひ日常にピラティスを取り入れてみてください。

参考文献

  1. 佐藤俊彦, 他. ストレートネックと頸部障害の関係. 整形外科と災害外科, 54(3): 410-415, 2005.
  2. Harrison DE, Harrison DD, et al. Cervical lordosis: the relationship of cervical curvature to health, function, and disease. J Manipulative Physiol Ther. 2004;27(9):596-604.
  3. Yamaguchi T, et al. Changes in cervical spine curvature in healthy volunteers with different sagittal alignments. Spine. 2016;41(6):E364–E370.
  4. Falla D, et al. Patients with chronic neck pain demonstrate altered patterns of muscle activation during performance of a functional upper limb task. Spine. 2004;29(13):1436–1440.
  5. Emery K, De Serres SJ, et al. The effects of a Pilates training program on arm–trunk posture and movement. Clin Biomech. 2010;25(2):124–130.
  6. Wells C, Kolt GS, et al. Defining Pilates exercise: a systematic review. Complement Ther Med. 2012;20(4):253–262.

コメント

タイトルとURLをコピーしました